薄毛・抜け毛を改善したい! 昔のような髪を取り戻したい! そう思っていても、自分の症状がどういうタイプにあたるのか、どういう原因でそうなっているのか、じっくり見つめるのは難しいものです。でも、まずそれを理解していなければ、ちぐはぐな改善策をとってしまったりします。
自分を振り返ることが、薄毛・抜け毛を脱する正しい行動・予防のはじまりです。
症状別6つのタイプ
女性の薄毛・抜け毛として挙げられるのは、以下の6つのタイプです。でも、かならずしもひとつのタイプにだけあてはまるわけではなく、症状によってはいろんなタイプにまたがっている場合もあります。
びまん性脱毛症・薄毛
頭髪全体が均等に薄くなります。原因は様々ですが、女性の薄毛でもっとも多く見られるケースです。
分娩後脱毛症・薄毛
出産後のホルモン変化によって、成長期の髪がいっせいに休止期に入るため毛髪量が減ります。
牽引性脱毛症・薄毛
髪をきつく縛ったり整髪料で固めるなどの髪型を長くつづけることで抜け毛が増えるケース。生え際や分け目などとくに強く引っ張られる部分が薄くなります。
脂漏性(しろうせい)脱毛症・薄毛
皮脂が過剰に分泌することで、頭皮に炎症がおこって抜け毛が増えるケースです。強烈な痒みやフケの増大が伴うことが多く、頭髪・頭皮のべたつきもひどくなります。
粃糠性(ひこうせい)脱毛症・薄毛
乾燥したフケをともなって炎症などがおこり、抜け毛が多くなるケース。シャンプーが肌質に合っていない、皮脂を取りすぎるなどが主な原因と考えられます。
円形脱毛症
文字通り脱毛症状が円形状におこるため、このように呼ばれています。リンパ球が毛包を攻撃することによって脱毛が起こる自己免疫疾患のひとつです。数カ所脱毛するケースもあり、症状が激しいケースでは、頭髪がほとんど抜けてしまうこともあります。
症状を進行させる9つの要因
薄毛・抜け毛を進行させる要因としては、大きく以下の9つがあります。ただ、要因は互いに関連している場合も多いのです。
1.加齢
髪の密度と太さは、年齢と密接に関係しているといわれています。個人差はありますが、30代から40代にかけてヘアサイクルが変化しはじめます。成長期が短くなり、退行期や休止期の髪が増加します。すると細い髪が増え、髪の量が減っていきます。髪の太さとコシは相関しているため、髪型もボリュームがなくなりがち。同時に白髪や抜け毛、髪のうねりが目立つようになります。
2.ホルモンバランス
女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減ると、薄毛になりやすいといわれています。その要因のひとつは、エストロゲンの強い抗酸化作用で頭皮の細胞が活性酸素から守られているからと考えられます。もうひとつの要因は、ホルモンバランスの乱れです。
女性ホルモンの分泌は20代後半から30代にかけて減りはじめ、40代で一気に下がり、閉経後もなだらかに下降していきます。また、誤解が多いのですが、女性であっても副腎や卵巣で男性ホルモン(テストステロン)が分泌されているのです。そして閉経後に一時的に男性ホルモンが優位になると、薄毛を促進させる場合があります。ホルモンバランスにさまざまな要因が加わりますが、若年性の薄毛も最近では増えています。
また、妊娠・出産でホルモンバランスが一時的に乱れることが原因の場合もあります。産後の大量脱毛は、基本的には、まとまった量の髪が一気に休止期に入るために起こる一時的なものと考えられます。また、授乳による睡眠不足や育児ストレスが原因となっていることも考えられます。
3.ストレス
近年の女性をとりまく環境はストレスの多いものになりました。自身の家庭だけでなく、仕事や親の介護など、多くの役割を期待され、多くのストレスを抱えるようになってきています。それらによって生活習慣が乱れるのも一因です。そのために薄毛がすすみ、さらにストレスを抱えるという悪循環になります。
また、円形脱毛症の原因のひとつとも考えられます。
4.生活習慣(不摂生な生活・不規則な生活リズム・睡眠不足・偏った食事)
不摂生な生活も薄毛の要因です。仕事が遅くなって睡眠時間が減り、疲れがたまり、ストレスをお酒とタバコでやりすごし、一食抜いて脂質と糖分の多いお菓子で空腹を満たしといった生活。そうして生活全般が乱れてしまったという経験は、誰しも思い当たるのではないでしょうか。そうしたとき、髪への影響はしばらくたってから現れます。今頭にある髪は過去にできたものであり、ある程度の時間がたたなければ今の結果が見えないからです。
5.頭皮トラブル(間違ったヘアケア・自分に合っていないヘアケア)
頭皮は髪をつくる重要な場所。そのトラブルも、薄毛・抜け毛をもたらす要因です。
- カラーリングやパーマなどの溶剤からのダメージの蓄積
- 自分に合わないシャンプー・コンディショナー剤
- スタイリング剤
- 頭皮に負担をかける髪型
- 不適切なヘアケア(はやりの湯シャンも間違えば頭皮トラブルの元になります。)
6.過度なダイエット
生活習慣「病」ともいえる極端なダイエットは、多くの(とくに若い)女性が、自分の体型を気にして意識的に行っています。そのほとんどは、髪にどれほど悪影響かを知らずに食事制限等を行っていると思われます。
髪はケラチンというタンパク質で作られており、髪がのびるために必要とされるエネルギーも膨大です。新しい細胞を作るための良質な栄養を十分に摂取できない場合、体重は減るかもしれませんが、同時に髪も痩せていきます。頭髪生成の栄養とエネルギーが補給されないため、毛母細胞の活動が落ちてしまうからです。栄養不良がひどくなると毛髪が抜け落ちることもあります。身体が健やかなことが、髪にとっても大切です。カロリー計算だけのダイエットで無茶な食事制限を行わないようにしましょう。
7.遺伝的体質
遺伝的に髪が細い、量が少ない、加齢によって薄毛が進みやすいという場合があるようです。ただ、親子は生活習慣も似ている場合が多いことから、薄毛が遺伝だけで進行するものではないという専門家もいるようです。
8.病気(甲状腺疾患、婦人科系疾患、糖尿病、慢性貧血など)
病気から抜け毛が進行するケースは多く、身体の健康が毛髪に影響する事例は枚挙に暇がありません。現在病気でない方も、まず健康を整える大切さを認識していきたいものです。円形脱毛症に関しては、アレルギー疾患が原因のケースがあります。
9.薬剤による副作用
8と同様に、薬の服用による頭髪への影響はよく知られているところです。ピル(経口避妊薬)の服薬をやめたときなども脱毛が進行する場合があります。
注意すべきこと
上述したように要因は互いに関連しているものも多いため、8-9以外は、原因の特定よりも全体的なバランスで自分を振り返ってみましょう。急激に薄毛が進行した場合は、重大な疾患の可能性も考えられますので、自分で判断せずに医師に相談してください。
まとめ
自分の症状がどういうタイプか、どういう要因か、あてはまるところはありましたか? 内容は理解できたけど、自分がどこにあてはまるかはわからない。そう感じられた方も多いかもしれません。でも大丈夫。今後意識して定期的に振り返ることで、理解は深まってくるはずです。だいたいの方向へ改善策・予防策をとりながら、理解を深めていけばいいのです。理解が深まるほど、行動もピントのあったものになるかと思います。なかでも、上記のうちで活性酸素にかかわる要因が7つもあるため、活性酸素対策は必須です。