頭皮と髪の発育にダメージを与える三大因子は「酸化」「紫外線」「乾燥」です。
その「酸化」をもたらすのが活性酸素。
髪だけでなく、9割以上の病気の発症に活性酸素がかかわっているといわれるほど、その毒性は大きなものです。
つまり美容や老化、そして健康すべてにかかわっているのが活性酸素。
このエントリでは、活性酸素とは何か、活性酸素の髪にたいする影響と、どうすれば髪の老化を防げるかの対策を説明します。
活性酸素とは? 酸化とは?
わたしたちは生きていくために必要なエネルギーを得るため、酸素を利用して食べ物を代謝しています。この過程で取り入れた酸素の2~3%が、副産物として体内で別のものに変化します。これが活性酸素で、他にもいろいろな場面で活性酸素は発生します。活性酸素はまわりの細胞や組織を「酸化」というかたちで変性させて傷つけます。
活性酸素による老化と病気
活性酸素によって細胞や組織は傷つき、機能を低下させます。それが老化や病気の要因になると考えられます。
老化というと時間が経過することによる肉体の劣化をイメージしがちです。でも、なぜ同じ年齢でも老化度合い(見た目)に違いがあるのでしょう? その要因のひとつに、活性酸素による酸化ストレス(機能低下)の度合いが大きい人とそうでない人がいることが挙げられます。
活性酸素で何が起きる?
でも、活性酸素には悪いはたらきだけでなく良いはたらきもあります。
良いはたらき
・好中球やマクロファージが、細菌やウィルスなどの外敵を攻撃する武器として放出する。
(抗がん治療や殺菌・消毒などに利用されることもあります)
悪いはたらき
・細胞や遺伝子を傷つけ、組織を破壊する。
なぜ活性酸素が発生する?
呼吸以外で活性酸素を発生させる原因のほとんどは、わたしたちが身体に悪いと経験的に知っているものです。
- ストレスによる身体の反応(虚血ー再灌流)
- 紫外線
- 脂質の多い食事
- 腸内細菌(悪玉菌)
- タバコの煙
- 排気ガスなどの大気汚染物質(窒素酸化物(NOx)、オゾン、粒子状物質(PM)、次亜塩素酸、ペルオキシナイトライト)
- 農薬
- 食品添加物(甘味料・合成着色料・香料・酸味料・保存料・酸化防止剤・防カビ剤・漂白剤・発色剤・イーストフード・ガムベース・・・)
- ウィルス感染(増殖したウィルスが死ぬとき)
- X線検査やアスピリン、抗がん剤などの医薬品
- 過度の飲酒
活性酸素が頭皮と髪にもたらす影響
ストレスで抜け毛が増えたり、脂っこい食べ物が好きな人は毛が薄い人が多かったり、放射線治療や抗がん剤で髪が抜けたりします。でも、そうした抜け毛が活性酸素によるものだとは意外と知られていません。
活性酸素は、頭皮と髪の各細胞にダメージをもたらして老化をすすめます。それが発毛能力に影響します。
- 表皮の基底層にあるケラチノサイト(角化細胞)などを傷つける
- (結果として)表皮に乾燥をもたらす
- 真皮の各細胞(毛包のバルジ領域にある毛包幹細胞など)に損傷をもたらす
- コラーゲン(たんぱく質)やエラスチン(線維組織)を変性させる
- (結果として)頭皮細胞の構造を乱し、頭髪のうねりをつくる
- 皮脂や脂質を過酸化脂質に変え、皮膚のバリア機能を低下させる
これらにより、髪の毛の再生能力に大きなダメージがあらわれます。
後述しますがとくに30代~40代以降は注意が必要です。
どうやって活性酸素を減らせるの?
では、どうしたら活性酸素による髪と頭皮の老化を防げるのでしょうか?
それは大きく分けて3つの手段が考えられます。
- 活性酸素の発生源を遠ざける
- 休養で活性酸素を取りのぞく
- 栄養で活性酸素を取りのぞく手助けをする
です。
活性酸素による酸化を細胞のサビとして例えれば、休養(睡眠)はサビをとり、栄養はサビをつきにくくする(またはサビ取りを助ける)はたらきをします。
●活性酸素の発生源を遠ざける
できるだけストレスのない生活やストレス解消を心がける、紫外線を防ぐ、食生活でできるだけ脂質を減らす、タバコを吸わない、減農薬、食品添加物をできるだけ避けた食事など、いい生活習慣を心がけることで活性酸素の発生自体を抑えることができます。
●休養
睡眠はもっとも効果的な方法です。睡眠をできるだけ多く取り、休養を心がけます。
●栄養
わたしたちの体内では抗酸化物質・抗酸化酵素が作られ、活性酸素への防御システムとして働いています。そうした抗酸化作用は、体の外から抗酸化物質を多く摂ることで補強することができます。
体内の抗酸化物質・酵素は加齢によって合成能力が低下していきます。女性ホルモンのエストロゲンも強い抗酸化力をもちますが、エストロゲンの分泌量が減り始める30代~40以降では外から抗酸化物質を意識して摂るかどうかで差がつきます。
本来は食べ物からバランスよく抗酸化物質を摂ることがベストですが、忙しくて難しいこともあると思います。でも、多忙なときほど睡眠不足やストレスのために活性酸素が発生しているので注意が必要です。そんな場合には、抗酸化サプリメントで補うのがおすすめです。
髪におすすめの抗酸化物質とは?
抗酸化物質はいろいろありますが、髪にとって重要なものは以下のものです。
●ビタミンE
作用:抗酸化、過酸化脂質の分解、動脈硬化・脳梗塞・心疾患・がん・認知症予防
含まれる食品:アーモンド、落花生、西洋かぼちゃ、赤ピーマン、アボガド
とりかた:コエンザイムQ10・αリポ酸・ビタミンCなどと組み合わせて摂ると抗酸化の働きを強くする。
●ビタミンC
作用:抗酸化、メラニン色素合成の抑制、コラーゲン合成、ストレス緩和、抗ウィルス
含まれる食品:柑橘類、キウイ、いちご、柿、ピーマン、ブロッコリー
とりかた:ビタミンCは水溶性なので体内に貯蔵しておくことができず、細かな摂取が大切。睡眠不足や激しい運動、喫煙、ストレスによって著しく消費されるため、摂取量を多くする。
●ビタミンB2
作用:抗酸化、皮膚の新陳代謝アップ、毛細血管を強くして血液循環を促進、脂質の代謝促進、過酸化脂質の分解。
含まれる食品:牛・鶏レバー、ウナギ、イワシ、ブリ、干し椎茸、納豆、アーモンド
とりかた:ビタミンB2は水溶性。欠乏すると口内炎や口唇炎の粘膜障害があらわれるので摂取の目安に。
●βカロテン(カロテノイド)
作用:抗酸化、毛包周囲の角化を防止
含まれる食品:ニンジン・ほうれんそう
とりかた:βカロテンは体内でビタミンAに分解される(ビタミンAを過剰摂取すると脱毛症状などがあらわれることがあるが、βカロテンでの摂取は問題なし)
まとめ

活性酸素を発生させない、減らす、遠ざけるといったことを意識して、美髪を目指したいですね。
それが美肌や健康にもつながるので、メリットははかりしれません!
忙しくて食生活が乱れがちなときは、補助的にサプリメントを活用することも選択肢のひとつです。