肩口にたくさんのフケ! 誰かから指摘されたか、自分で気がついたとします。
あなたの反応で近いものは、つぎの3つのうちでどれですか?
- 「(トイレかどこかで)髪を手で払おう。他のフケもできるだけ落としておかないと」
- 「ちゃんとブラッシングしたのにおかしいな。もっとしっかり洗わなきゃ」
- 「フケが目立つのは何かのサイン。原因をさぐってみよう」
美髪をキープするためにいちばん好ましいのは、3ですね。
1と2が悪いわけではありませんが、また同じことになる可能性が高いですよね。フケが目立つときは、頭皮に何らかの問題がひそんでいることが多いからです。
頭皮の異常を知らせる信号をちゃんとキャッチして、軌道修正できるかどうか。それが、美髪をキープする秘訣になります。フケの向こうにある問題を防いで、頭皮疾患や抜け毛、細毛化から髪を守りましょう。
Contents
問題となるフケの種類と原因
そもそもフケとは?
フケは頭皮の表層に押し出された基底細胞が角化(角質化)し、角片となってはがれ落ちたものです。その周期は通常約28日で、皮膚のターンオーバー(新陳代謝のサイクル)と呼ばれています。
フケは健康な頭皮でも出るものですが、問題のないフケは小さく、気づかないうちに落ちています。反対に、大量のフケや大きなフケが目立ったりした場合には注意が必要です。
頭皮による「外部からの異物侵入の防止」「水分の保持」の役割がきちんとなされていない可能性があるからです。
フケを健康頭皮のバロメーターにして、正常なものに戻してやるケアが大切です。
問題となるフケの種類と原因
細かなフケをのぞく、問題となるフケ(ひとかたまりが大きいもの)の種類は大きく二つあり、その原因が分けられます。
1.乾性
- 頭皮の乾燥・水分不足(洗いすぎも)
- 乾燥型の湿疹(皮膚炎)
皮脂を取りすぎて乾燥すると、インターロイキン1αが表皮にたまり、少しの刺激で炎症を起こしやすくなります。また、ランゲルハンス細胞が増加して刺激に敏感になります。機能の低下した表皮から真皮のマスト細胞にアレルゲンが到達すると、ヒスタミンが放出され炎症になります。すると角層細胞の新陳代謝がアップし、核が残ったままの角層細胞が作られます。
すると天然保湿因子(NMF)と細胞間脂質が正常に作られなくなり、角層水分量が低下し、セラミドが減少します。するとさらにバリア機能が低下し、ターンオーバーが異常に早くなって大量のフケとなります。
2.脂性
- マラセチア菌(真菌)の増加・脂漏性皮膚炎
- 過酸化脂質の増加
脂性のフケはマラセチア菌が増えすぎることなどによって炎症(マラセチア毛包炎・皮膚炎)が起こっている可能性があります。マラセチア菌とは、体表面(皮膚)に常に存在している真菌(カビ)の一種です。
また、過酸化脂質の増加も頭皮細胞に強いダメージを与えます。脂質が紫外線や活性酸素によって酸化されると過酸化脂質となって他の脂質の酸化を促進させます。活性酸素や過酸化脂質は周辺細胞を傷つけ、コラーゲンを分解します。
すると乾燥下と同じように角層細胞の新陳代謝がアップし、不全角化で大量のフケとなります。
乾性フケと脂性フケ共通の原因。どちらもトラブルを示している!?
共通の原因としては、以下のものが考えられます。
- バリア機能が低下している
頭皮が「外部からの異物侵入を防止」して「水分を保持」するには、皮脂・天然保湿因子(NMF)・細胞間脂質が整っていることが大切です。ところが乾性・脂性それぞれの原因でバリア機能が低下しています。
- ターンオーバーが乱れている
大量のフケが出るのはターンオーバーが乱れて角層細胞の新陳代謝がアップしているからです。
バリア機能が低下したり、ターンオーバーが乱れる要因としては、外部環境、ホルモンバランスの乱れ、シャンプー等の残留、ストレスによる活性酸素、アレルギーなどが複合的な原因となっている可能性もあります。
頭皮トラブルに関して、シャンプー原因説が強くなっていますが、それだけでは説明しきれません。
ただ、シャンプー選びに際して自分が乾性か脂性かがわからないという人も多いようです。たとえば夕方になると髪の根元が油でべっとりとなっている場合、自分は脂性だと思ってしまうかもしれません。ただ脂性といっても、頭皮の乾燥(油分の不足)が常態化した結果、バランスを保とうとする体内作用によって皮脂量が増えている可能性もあります。
また、ホルモンバランスの変化や外気の乾燥などによっても皮脂量は日々変化しています。洗髪前の頭皮の張りと、洗髪後(ヘアドライした後)の頭皮の張りを比べてみてください。ヘアドライした後に頭皮が突っ張っているように感じられるなら、シャンプーによる習慣的な皮脂のとりすぎを注意した方がいいかもしれません。
フケが悪化した場合の毛髪への影響
頭皮のターンオーバーが乱れると、多量のフケが出るだけでなく、皮膚内部の水分が失われやすくなり、外的刺激にたいして弱くなります。つまりバリア機能が低下してしまいます。それがさらにターンオーバーを乱すという悪循環となって、皮膚内部の毛髪を作る細胞への悪影響をおよぼします。
フケ対策の基本的な考え方
では、どうやってフケ対策を行っていけばいいのでしょうか? 根本的には、なぜフケが多いか原因を探ってつぶしていくことが大切ですが(参考:女性の薄毛の原因に!活性酸素が頭皮細胞に大きなダメージ)、基本としては保湿対策と皮脂対策です。
1.頭皮の状態を知る(フケの種類を観察する)
まずは、フケの種類が乾性か脂性かどちらなのかを見分けます。上述したように切り分けが難しいこともありますが、洗髪後の頭皮の張り、赤み、時間経過したときの髪の状態(いつもより脂っぽいか)を確認してみましょう。
2.シャンプーを変える(使われている原料・強さ等)
頭皮が乾燥しすぎる場合は洗浄力の弱いシャンプーに切り替えます。アミノ酸系シャンプーを検討してみるのもいいでしょう。シャンプー剤の刺激が肌に合っていないために肌荒れが起こっている可能性も考えられます。その場合は肌にやさしいものを選びます。リンス入りのシャンプーを使用している場合は、頭皮につかないよう使い分けるために別々のものにしたほうがいいでしょう。
3.シャンプーの量と回数を調整する(増やす・減らす)
肌の状態にあわせてシャンプーの量を少なめにするなど調整してみるのもいい方法です。痒みや皮膚の赤みがない場合は、頭皮の突っ張りなどの様子を見ながら、じょじょにシャンプーの量を調整していくといいでしょう。皮脂が多いと感じられる場合は、強めの専用シャンプーを使うか、二度洗いをするなどして、まず適度な状態を保ちます。食生活や生活リズムを見なおしてみるのも重要です。
4.シャンプーの方法を見直す
間違ったシャンプーを行っていないか、チェックするのも大切です。とくにすすぎ残しがないよう(シャンプーもコンディショナーも)、しっかりと流します。くわしくは下のリンクを参考にしてください。
薄毛・抜け毛改善のシャンプー方法と、おさえておきたいポイント8つ
5.ドライヤーによる乾燥を適切に行う
ドライヤーを適切に使うことは、頭皮と髪の健康にとって比較的簡単な方法です。くわしくは次のリンクを参考にして、ぜひ実行してください。
6.他の原因をさぐる
強いストレス、アレルギーやアトピー、マラセチア菌の増加など皮膚炎の可能性も考えられます。
7.適切な保湿を心がける
頭皮用の美容液や養毛剤等で適度な保湿を心がけます。
フケ対策の注意点(シャンプー断ちするとき)
注意点としては、乾性の場合も脂性の場合も、すぐ原因を決めつけないことが大切です。たとえば、シャンプーが悪いのではないかと断定していきなりシャンプー断ちしたりしないようにしましょう。最近、お湯だけで髪を洗う湯シャンがはやっていますが、いつも使っていたものを突然やめると頭皮バランスが大きく崩れます。それが逆にマラセチア皮膚炎などのトラブルにつながりやすいのです。
激しい痒みがともなうフケの注意点
我慢できないほどの強い痒みとともにフケが増えているときは注意が必要です。症状がひどい場合は無理をしないことが大切です。自分で原因を判断せず、医師に相談するようにしましょう。
自然な抜け毛と危険な抜け毛の量の違いとは?
頭皮の状態を知るための習慣として、洗髪前のブラッシングとマッサージがおすすめです。