髪を語るときに忘れてはならないのが、頭皮ですよね。
農作物と畑にたとえれば、髪は農作物で頭皮は土壌のようなもの。
いい農家が土を大切にするように、わたしたちも、髪だけでなく頭皮についてもケアする必要があります。
むしろ、美しい髪をつくるためには、頭皮ケアが最優先事項です。
では、頭皮ケアには何が大切なのでしょうか?
植物と髪とは、決定的な違いがあります。
それをおさえれば、頭皮ケアのキーポイントが理解できます。
髪のなかで唯一「生きている」ところって?
あまり(というかほとんど)知られていませんが、髪は頭皮の一部です。頭皮にある毛母細胞が分裂し、角化して伸びていきます。それがわたしたちが髪と呼ぶもの。
「頭皮で髪が作られることは知っていたけど、髪が頭皮の一部だったなんて…」知らない方は驚かれます。
わたしたちは、頭部にある髪が生きているかのように認識しています。少なくとも、抜けるまでは自分の一部だと思っていますよね。でもほとんどはすでに死んでしまった細胞なのです。枝や茎の先まで生きている植物とは大きな違いです。
頭髪のうち、頭皮から表に出ている部分は毛幹、頭皮に埋まった部分は毛根と呼ばれています。毛幹は死んだ細胞の集まりで、「生きている」部分は頭皮のなかの、毛根の端にある毛母細胞などだけです。
2つのポイント 「場所」と「時」にどう働きかけるかが大切!
髪には自己修復機能はありません。他の生きている細胞のように、自分で自分を治したりすることができないのです。また、植物のように、茎の先に水分や養分を運んだりすることもできません。髪は、毛根の限定された部分だけが生きていて、毛母細胞の分裂によって伸びていく細胞は死んでいるからです。
つまり、目に見える髪は、過去の活動(細胞分裂)の結果です。そして、つくられたときが最高の状態です。
だからこそ、健康的で美しい髪をつくるには、その髪ができる「場所」と「時」がポイントなのです。その「場所」は、生きている毛母細胞が存在する頭皮。そこに必要なものを内側から届け、外側からプラスアルファのケアをしてやります。そして、その細胞が活性化する「時」も大切です。
では、いつ何をすればいいのでしょう? でもそのケアは継続して習慣化するのが大切です。そのためには、深く納得しておきたいところ。
なので、簡単に頭皮の構造を理解しておきましょう。
頭皮の構造
頭皮の基本構造は、顔の表皮構造と似ています。
表皮の下に真皮と皮下組織があり、そこに汗腺と皮脂腺が存在しています。
(図:製作中です)
頭と顔の皮膚構造は似ている一方、大きな違いもあります。
頭皮には顔面のような筋肉がない。
頭皮は帽状腱膜(ぼうじょうけんまく)といわれる繊維上の組織に覆われています。頭皮に筋肉がないということは、意思で筋肉を動かして血流を促進させることができないことを意味します。
毛穴の数とサイズが違う
頭皮は毛穴が多く、そのサイズも大きいのです。
皮脂の量が多い
毛穴とつながった皮脂腺から分泌される皮脂が多いことも特徴です。その量は顔のTゾーンと比べものにならないほどで、2~3倍との調査結果があります。その皮脂が酸化すると臭いやトラブルの原因となります。でも、排除しすぎると頭皮や毛髪が守られなくなります。
つまり、分泌される皮脂は多いのですが、それをただ取ればいいというわけではないのです。
頭皮は頭髪で隠れているため、顔以上にケアが難しいともいわれています。トラブルに気づきにくいからです。
乾燥肌の方は、顔の皮脂量をもとに頭皮ケアを調整していくことが重要です。
頭皮と髪の特徴をおさえて、自分にあった適切なケアを
上述したように、
- 髪の生きている部分は頭皮にある
- 髪ができる「場所」と「時」の2つが美しい髪をつくる重要ポイント
- 顔と頭の皮膚はひとつづきですが、違う構造・特徴がある
それらのポイントををおさえた上で、「自分の体質」と「ライフスタイル」にあった形にアレンジしながらケアしていきましょう。
髪って何でできているか知ってますか? まず基本をおさえて、やるべきケアの本質を確認
ひとりひとりに個性があってかならずしも平均はあてはまりませんが、いちおうの目安として知っておくといいかも